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その2は、下記です。

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ラノベ作家のshiryuです。鬼滅の刃のSSを書きました。タイトル通り、炭治郎がもし最初から日の呼吸を使えていたら、とい…

 

 


 

 

義勇は、その場で鬼の炭治郎と妹の禰豆子の話を聞いた。

 

炭治郎は鼻がとても効くらしく、突如家に来た男が人間とは違う匂いで、なおかつ人を何千人も殺しているような匂いがした。

 

それで家族を家の中で待機させたまま、炭治郎は一人でその男に立ち向かった。

 

斧で首を落としたにもかかわらず、相手は死ななかったと。

 

そしてその直後、障子の襖のようなものが虚空に現れ、その中へ消えていった。

 

「鬼は、普通の剣や斧では頸を斬っても死なない。不死身だ」

「そうなのですか? ならあなたは、どうやって鬼を殺しているのですか?」

「鬼滅隊の刀は特殊で、これで頸を斬ったら死ぬ」

「そうなんですね」

 

炭治郎と禰豆子は、なぜ鬼がその刀で頸を斬ったら死ぬのかわからない。

 

なんとなく炭治郎は、その刀からお日様の匂いを感じ取ったが、そのせいなのかもしれない。

 

「炭治郎、その鬼の容貌は?」

「洋風な服を着ていました。一見すると普通の人間に見えましたが、戦闘に入ると身体中から触手のようなものを出して攻撃してきました」

「そうか……」

 

義勇は考える。

 

戦闘に入るまで、人間の身体に近かった。

つまり、人間に擬態している?

 

鬼は本能の赴くままに人間を喰らうので、普通の鬼が人間に溶け込むということはあまり聞いたことがない。

 

義勇が前に聞いた話だと上位の鬼、つまり十二鬼月などが人間に紛れて生活していることはあるという。

 

「鬼の目に、何か数字はかかれていなかったか?」

「目に、数字ですか? いえ、なかったです」

 

十二鬼月は、瞳に階級の数字が入っている。

 

しかし炭治郎が相手した、人間に溶け込むほどの知性を持っている者は、十二鬼月ではなかったと。

 

(待てよ……)

 

そもそも、炭治郎は鬼の血を少し浴びただけで鬼になっている。

 

普通の鬼の血ならば、そのくらいで鬼になったりしないだろう。

 

十二鬼月の上弦ほど、血が濃くないと……鬼舞辻無惨の血が浴びた血の量の中で、濃厚でないと。

 

「炭治郎、禰豆子」

「あっ、母さん」

「そろそろ朝ご飯にするわよ」

 

しかし、その鬼の瞳に数字は書かれていない。

 

つまり――。

 

「昨日の晩御飯、鮭大根を食べきらないといけないわ」

「っ! 鮭大根……」

 

義勇の思考が、強制的に途切れた瞬間だった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

お館様に義勇と一緒にこの任務を受けた、柱。

 

その名は、胡蝶カナエ。

階級、花柱である。

 

一緒に山に入った義勇が、集合場所に来ていなかったので探しに来たのだ。

 

そして義勇が担当していたところに、一軒の家を見つけた。

 

中からは数人の人間の気配。

その中には、冨岡義勇もいるようだ。

 

「……あら?」

 

近づくにつれ、花柱であるカナエの鋭い感覚が、鬼の気配を察知する。

本当に気薄で、警戒していなかったらカナエですら気づかないぐらいだ。

 

もしかしたら、その鬼に義勇と他の人間は、すでに捕まっているのかもしれない。

 

「っ……!」

 

そう考え、より慎重にその一軒家に近づいていく。

 

窓があるので、そこから中を覗くと――。

 

「義勇さん、美味しいですか?」

「……美味い」

「良かったです!」

 

鬼の気配を持った少年と、義勇が一緒に食事をしていた。

 

「……えっ?」

 

思わず声を漏らしてしまった。

慌てて口を塞いで、一度中を覗くのを止める。

 

何がなんだかわからないが、中からの声はカナエにも届いてきた。

 

「ふふっ、よかったです! いっぱい余ってますから、お代わりしてくださいね!」

「……お代わり」

「はいっ!」

「兄ちゃん! 俺も!」

「わたしも!」

「竹雄、花子、わかったからゆっくりお食べ」

 

普通の家族団欒のように、聞こえる。

いや、実際そうなのだろう。

 

しかし問題なのは、その中に鬼がいることと、同僚の鬼殺隊の柱である冨岡義勇が混じっていることだ。

 

(理解できないわ……)

 

もともと義勇は、表情も乏しく口数も少ないので、何を考えているのか理解しづらい。

 

しかし今回ほど、何を考えているのか、何をしているのか理解できないことはないだろう。

 

カナエが額に手を当ててそんなことを考えていると、中からまた声が聞こえた。

 

「ところで、義勇さん。外にいる女性の方は、義勇さんのお知り合いですか?」

「っ!!」

「……ああ、鬼殺隊の花柱だ」

 

バレていた。

 

あれだけしっかり声を漏らしたので、義勇にはバレるのは当然だろう。

しかしまさか、鬼の少年にまでバレているとは。

 

他の人達にはバレていなかったようなので、やはりあの二人が特別なのは間違いない。

 

(だけど……なんで冨岡くん、鬼に私のことを普通に話しちゃってるのかなぁ)

 

鬼と仲良く話していること自体いけないのに、まさかこちらの情報を普通に言うとは。

 

カナエは一度大きくため息をつき、中に入るために正面の戸に回った。

 

「……こんにちは。鬼殺隊の花柱、胡蝶カナエです」

「こんにちは! 竈門炭治郎です!」

 

出迎えてくれたのは、鬼の気配をさせている少年。

 

普通の少年のように見えるが、よく見ると瞳孔が縦長で犬歯が尖っている。

 

鬼なのだが、全く鬼っぽくはない。

 

「……えっと、君は鬼、なのよね?」

「そうらしいです」

「らしい、っていうのは?」

「気づかない間に、鬼になってたみたいです」

 

その後、義勇もされたという説明をカナエは受けた。

 

「そうなんだ……じゃあ鬼になったのは、三日前ってことかな? それで昨日まで寝てた、ってことかしら?」

「そうみたいです」

「人を、喰ったことは?」

「もちろんないですよ!」

 

嘘では、ない。

 

カナエの目を真っ直ぐと見てくる少年の目は、普通の鬼のように嘘をついているような目ではない。

 

人間の、正直者の目である。

 

それを見て、カナエは笑みを深めて嬉しくなる。

 

「ふふっ、よろしくね炭治郎くん! 私、鬼と仲良くなるの夢だったの!」

 

その後、花柱も竈門家の食事に加わった。

 

突然来た義勇やカナエにも優しく接してくれる、とても暖かな家族で、笑いの耐えない食卓である。

 

特に義勇は、久しぶりにこうして誰かと食事を共にした。

カナエは、初めて義勇が笑みを浮かべているところを見た。

 

義勇が鮭大根を食べたときに、笑みを浮かべたことがあるという噂をカナエは知っていた。

 

しかし……笑みを浮かべた理由は、それだけじゃないだろう。

 

食事を終え、家族はそれぞれ動き出す。

 

その中で義勇とカナエも真面目に、鬼殺隊として行動をしないといけない。

 

「ねえ、炭治郎くん。ちょっといいかな?」

「はい?」

 

食事の片付けをしていた炭治郎に、カナエは話しかけた。

 

「冨岡くんからも説明があったと思うけど、私たちは鬼殺隊で、鬼を殺す組織なの」

「はい、聞いています」

「だから……組織の規則に従えば、あなたを殺さないといけない」

 

炭治郎も片付けの手を止め、顔を合わせて話を聞く。

 

「だけど私と、それに冨岡くんも、あなたを殺すつもりはない。だけどこのまま解散、というわけにもいかないの」

「じゃあ、どうするんですか?」

「とりあえずあなたのことを、鬼殺隊のお館様に報告してからだと思う。それで、多分柱合会議にかけられるわ」

「柱合会議?」

「鬼殺隊の階級が一番上の柱が集まって、お館様とあなたの待遇を話し合うことになると思うわ」

 

おそらく、その柱合会議は相当荒れることになるだろう。

 

炭治郎がたとえ理性が完璧に残っていて、人を喰っていないとしても、鬼は鬼だ。

 

確実に炭治郎を殺すべきという者がいるだろう。

 

少し炭治郎と話せば、もう彼を普通の鬼とは呼べない。

 

「大丈夫、私と冨岡くんは、必ずあなたを守るから。だからその時になったら、一緒に来てくれる?」

「……はい、大丈夫です。その時はよろしくお願いします」

 

炭治郎は不満な顔を一つ見せず、カナエと義勇に頭を下げた。

 

「ううん、よろしくするのは私たちの方よ。あなたは家族を守っただけなのに……」

「大丈夫です! 長男ですから!」

「……ふふっ、なにそれ」

 

そう言って二人は顔を見合わせて笑った。

 

「兄ちゃん! 外で鬼ごっこしようよ!」

 

竹雄が家の戸から顔を覗かせて、炭治郎にそう声をかけてきた。

 

「お姉さんとお兄さんも、一緒にやろう!」

「こら、お客さんに迷惑をかけるんじゃないぞ、花子」

「ふふふ、大丈夫よ、炭治郎くん。ご飯をご馳走になったんだもの。少しくらい相手になるわ」

「……俺もいい」

 

カナエと義勇は、快く引き受けてくれた。

 

「やった! じゃあ兄ちゃん! 早く早く!」

「わかったよ、竹雄。だからあまり引っ張るな、服が伸びちゃうだろ」

 

竹雄が家の中に入ってきて、楽しそうに炭治郎を外に連れていった。

炭治郎も困ったように言うが、その表情は楽しそうだ。

 

それを見て、カナエは微笑ましそうに見ていた。

 

しかしその瞬間、義勇がハッとする。

 

「っ! 炭治郎、日を浴びるな!」

 

二人は炭治郎が人間のように振る舞うから、忘れてしまっていた。

 

炭治郎は鬼で、鬼の唯一の弱点は太陽の光。

 

それを浴びれば、鬼は例外なく――焼け死ぬ。

 

「――! 炭治郎くん!」

 

カナエと義勇はバッと跳ぶようにして戸から外に出た。

 

そして――信じられぬ光景を、目の当たりにする。

 

「う、嘘でしょ……?」

 

「炭治郎、お前……!」

 

今日は、晴れだ。

快晴だ。

 

雪も降っておらず、空には雲一つない。

 

ここは山の中で木が生い茂っているが、それでは防げないほど日の光が辺りを埋め尽くしている。

 

その中で、鬼である炭治郎が――何事もなく、立っているのを見た。

 

「お二人とも、そんな慌ててどうしたんですか?

 

二人が、今日一番の驚きの顔をしているのを見て、炭治郎は不思議そうに首を傾げた。

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

「とうとう……太陽を克服した鬼が、出てしまったんだね」

 

鎹鴉の報告を聞き、その人は呟いた。

 

まだギリギリ見えている視界が、青い空を映し出す。

 

「だけど、運はこちらに向いてるようだね」

 

その鬼、炭治郎は完全に理性を保っており、人を喰わない。

 

まるで鬼ではないみたいに。

普通の人間であるかのように。

 

「だけど気になるのは、その鬼……いや、鬼って言ってはいけないね。炭治郎が、呼吸を用いていること」

 

鬼殺隊ではないのに、呼吸を用いている。

そしておそらく、鬼舞辻無惨と遭遇し、見事撃退をしている。

 

「早くその子に会いたいね」

 

そう言ってお館様は、静かに笑った。

 

 


 

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